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「三山ひろし一座」民音特別公演が三重県四日市市を皮切りに5月23日から5月30日まで各地区で公演された。取材にお邪魔した5月28日は、日本特殊陶業市民会館(愛知県)で行われた。
 第1部は、人情芝居「文七元結(ぶんしちもっとい)」で、タイトルの「元結」が馴染みが薄く、難しく感じるかもしれない。落語のうち、人情噺(にんじょうばなし)のひとつで、登場人物が多く、長い演目であり、情の中におかし味を持たせなくてはならないという理由から、難しい一題とされ、逆に、これができれば一人前ともいわれる。そんな難しい題材の芝居に初めて三山ひろしが果敢に挑む。
 時代は幕末の動乱。高知県出身の三山ひろしが坂本龍馬の格好をして登場。チャンバラでは危ないシーンも見事にかわす凄腕を披露し、笑いと涙を誘うドラマを見事に演じた。観客は芝居の成り行きを見守り、笑える場面では大いに笑い、泣ける場面では大いに涙し、感動場面では大いに感動して惜しみない拍手を送った。
   第2部は、「心に響く温もりの声、ビタミンボイス」のキャッチフレーズでお馴染みのデビュー5周年を迎えた三山ひろしのオンステージ。
 「さあ、皆さん、歌に充分酔っていただきましょう。お待たせしました。三山ひろしオンステージ!」とボクまろが紹介すると、盛大な拍手が鳴り響いて三山ひろしが登場。一曲目は「男のうそ」で、続けて長縄龍郎さんと関遊六さんが踊りを添えて「ダンチョネ港町」を熱唱。
 「『三山ひろし一座』民音特別公演にたくさんのお客様にお越しいただいて三山ひろしは本当に幸せ者です。第1部では初めてお芝居に挑戦させていただきました。私の故郷、坂本龍馬先生の役を務めさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。」(盛大な拍手!)
 「ありがとうございます。今回初めて殺陣(たて)をやり、危うく僕が切られそうになるところでした。なんとか生き延びることができたので、新曲『あやめ雨情』を力ある限り一生懸命歌ってまいります」と力強く宣言。そして、三山ひろしのアルバムの中に収録されている懐かしい歌の中から皆さんと唄える昭和歌謡を選んで、岡晴夫の「憧れのハワイ航路」、春日八郎の「山の吊橋」、津村謙の「上海帰りのリル」を会場を回りながら熱唱。
 「皆さんの温かい握手と声援とステキな笑顔を見ると勇気と力が湧いてきます。お陰さまで三山ひろしは5周年を迎えることができました。僕はいわゆる母子家庭に育ち、母が早朝に原付で新聞配達して、家に帰ってきたら、僕にご飯を食べさせてくれて、昼は違うところで仕事。そして夜は、ししとうをパックに詰める内職をして、朝から晩まで働いて僕を育ててくれた。一方僕の子守をしてくれたおじいちゃんとおばあちゃんはいろいろな昭和のはやり歌を教えてくれた。その大切なはやり歌3曲をメドレーでお届けします」と語って、三橋美智也の「おさらば東京」、ディック・ミネの「旅姿三人男」、岡本敦郎の 「高原列車は行く」をハツラツとした笑顔で熱唱。会場はノリノリ気分で大きな手拍子を叩いて三山ひろし共々大いに楽しんだ。  2009年デビュー曲の「人恋酒場」が、翌年2010年には10万枚を突破し、ゴールドディスクに認定。この曲を頂いた喜びは今でも忘れることができない。25才の時に夜行バスの片道切符を握りしめて高知県南国市から上京。「絶対に演歌歌手になるんだ!もしなれんかったら故郷にはもう帰ってこんぞ!」そういう思いで故郷をあとにした。東京にでたもののどうやって歌手になってよいのかよくわからない。困ったなと思っていると、作曲家中村典正(なかむらてんしょう)の奥さんで北島三郎と いとこ同士である歌手の松前ひろ子さんと出逢った。松前ひろこの店、「Liveレストラン青山」で三山ひろしはウェイターとして就職。それから何日かしたあとに中村先生から「君は歌手を目指しているそうだね。ちょっと歌って見なさい」と言われて、三橋美智也の「赤い夕陽の故郷」歌ったところ、歌唱力を認められ、先生の下で修行生活が始まる。車の運転を始め身の回りの世話をして3年が過ぎた2009年に「これが君のデビュー曲だよ」と「人恋酒場」の譜面が手渡された。「ありがとうございます」とお礼を述べると、涙が溢れてきて、「あぁこれでやっと故郷に帰れる」と思った。
 そんな思いに浸りながら「人恋酒場」を大熱唱。苦労話のあとでの歌はひときわ感動が大きい。
 多くの皆様のお力添えで、三山ひろし特別公演をお楽しみいただいている。「まさか自分が5年目で座長になれるとは思っていなかった。今日、楽屋に入ったら、のれんがかかっていたので、本当に嬉しかった。僕も座長になったんだな。よし頑張らなければいけないと思った。」
 母から「歌謡コンサートに出ていたね」と電話がかかってきて、「本当!どこが良かった?」と尋ねると、「衣装が一番よかったよ」と(笑)。「できれば歌が良かった」と言って欲しかった。「歌も良いけど、和やかな顔を見れただけで幸せ。つらいこともあるだろう。もし心が折れそうになったら、おまえの故郷はいつもここやからね」そんな母の気持ちを思うと胸が熱くなる。
 母に向けて、「おまえの故郷」を大熱唱。大声援がいつまでも鳴り響いた。
 本日、このようにたくさんのお客様からご声援を頂き、たくさんの親戚が増えました。親戚の皆様、どうかどうか応援宜しくお願いします!じゃ、どうやって応援するか。掛け声をもって、名古屋から東京渋谷NHKホールに風を吹かせていただきたい。今年2月発売の「あやめ雨情」が今、絶好調です。歌詞の中に、「雨よ...雨...雨...」と雨が三回続くところがあるので、その後に「ひろし!」と掛け声をかけて下さい!それでは「あやめ雨情」をお聴き下さい。
 「あやめ雨情」のイントロが流れてくると、会場からいきなり大きな声で「ひろし!」と掛け声がかかったものだから、会場大爆笑!三山ひろしもビックリ仰天で、「もう少しお待ち下さい」と前置きしてから歌唱を始める。1番目の「雨よ...雨...雨...」のあと、「ひろし!」と威勢の良い掛け声がかかるも、「若干ずれております」と笑顔で応え、2番目、3番目の掛け声が大成功。三山ひろしは意気揚々と気持ち良く歌い上げた。
 今から300年の昔、江戸時代中期の元禄期に赤穂浪士にまつわる元禄赤穂事件(げんろくあこうじけん)が発生した。昭和39年、三波春夫がこの事件を題材にした歌、「元禄名槍譜 俵星玄蕃(げんろくめいそうふ たわらぼしげんば)」を発表し、大ヒットを飛ばした。
 この8分30秒に及ぶ長編歌謡浪曲を三山ひろしが挑戦。三波春夫を思い起こす出で立ちで登場し、「さて、吉良少将義央の屋敷の近く本所横網町に・・・」とセリフを唱え始めた。威風堂々とした流暢な語りと歌唱姿は三波春夫を彷彿させ、魂の感じられる迫力ある歌声には心底引き込まれた。
 「三波美夕紀先生から所作指導・歌唱指導をしていただき、一生懸命歌い継ぐということを大切に一曲一曲真心を込めて歌って参ります」と抱負を語り、最後に「貴方にありがとう」を大熱唱。
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